BtoBのSEOを成功させるには?11の手順、測定、体制を解説
BtoBマーケティングでは商材の特性や購買プロセスが複雑なため、BtoCとは異なるSEO戦略が求められます。企業がターゲットとなるからこそ、適切なキーワード選定やコンテンツ設計を行わないと商談や問い合わせにつながらないという課題に直面してしまう可能性があります。では、BtoBの企業がSEOで成果を出すには、何をどのように行えばよいのでしょうか。
この記事では、BtoBの企業がSEOに取り組むメリットや具体的な施策を詳しく紹介します。BtoBのSEOの測定・改善方法や実行体制についても解説するので参考にしてください。
BtoBマーケティングにおけるSEOの役割と重要性
BtoBマーケティングにおいて、SEOはどのような役割を果たすのでしょうか。また、なぜBtoBにおいてSEOが重要なのでしょうか。
BtoBでSEOが重要な理由
BtoBにおいて、SEOにはさまざまな役割があります。まず、SEOは「見込み顧客との最初の接点をつくる」重要な手段です。BtoBビジネスでは、購買決定に至るまでの検討期間が長く、複数の担当者が関与するため、検索を通じて企業から早い段階で認知されることが成功の鍵になります。検索結果で上位に表示されることで、見込み顧客が情報収集を行う段階から自社の専門性や信頼性をアピールできるのです。
また、SEOは「企業ブランドの信頼構築」にもつながります。オウンドメディアやコラムなどで有益な情報を発信し続けることで、業界の専門知識を持つ企業として認識され、商談前から信頼関係を築くことが可能です。さらに、SEOは「長期的なリード獲得の基盤」としても機能します。広告とは異なり、継続的な運用によって安定した集客が見込めるため、コスト効率の良いマーケティング施策としても重要です。
このように、BtoBにおけるSEOは単なる集客手段にとどまらず、認知・信頼・商談へとつながるマーケティングの中核的役割を担っています。
BtoCのSEOとの違い
BtoBのSEOとBtoCのSEOには大きな違いがあります。BtoCでは個人消費者をターゲットとなるので、感情やライフスタイルに基づいて購買を決定することが多く、いかに購買促進を行うかが重要になります。
一方、BtoBでは購買プロセスにおいて複数の部署や上層部の承認を経て行われるため、比較検討の期間も長くなります。だからこそ、SEOでは一度の訪問で購買につなげるのではなく、長期的な信頼関係を築くためのリードの獲得と育成が重要になります。違いは以下のようにまとめられます。
| 項目 | BtoB SEO | BtoC SEO |
|---|---|---|
| ターゲット | 企業・法人の担当者 (経営層・購買担当・技術職など) |
一般消費者・個人ユーザー |
| 検討期間 | 長い (複数人の意思決定が関与する) |
短い (個人の判断で購入が決まる) |
| 単価 | 高単価 | 低〜中単価 |
| 自然検索流入数 | 少なめ (ニッチなキーワードが中心) |
多め (検索ボリュームの大きいキーワードが多い) |
| 訴求方法 | 専門性・信頼性・実績・ROIなどの論理的訴求 | 価格・デザイン・利便性・口コミなどの感情的訴求 |
このように、BtoBのSEOでは短期的な成果よりも、検索を起点に見込み顧客との接点を増やし、信頼を積み重ねながら最終的な商談や契約へと導くプロセス設計が求められます。
BtoBでSEOを行うメリット
BtoBにおいてSEOを行うことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。
費用対効果がよい
BtoBでのSEOは、費用対効果が高いことが大きなメリットといえます。
SEOは広告のようにクリックや表示のたびに費用が発生するものではなく、コンテンツを蓄積していくことで長期的に集客効果を持続させられます。初期投資こそ必要ですが、一度上位表示されれば継続的に見込み顧客を獲得できるため、広告費をかけ続ける必要がありません。
さらに、オーガニック検索からの流入は信頼性が高く、購買意欲の高いリード獲得にもつながります。成果が出るまでに時間はかかりますが、長期的な視点で見れば広告よりも費用対効果が高く、継続的なリード獲得チャネルとして機能します。BtoBにおけるSEOは長期的な集客とコスト削減を両立できる、費用対効果の高いマーケティング手法といえるでしょう。
潜在層にアプローチできる
潜在層へ効果的にアプローチできることも、BtoBマーケティングでSEOを活用するメリットです。SEOは、ユーザーがまだ自社の商品やサービスを具体的に探していない段階から接点を持てる手法です。その段階から自社を認知してもらうことで、将来的な商談やリード獲得の可能性を高めることができるのです。
例えば、「業務効率化 方法」や「製造業 成功事例」といった検索を行うユーザーは、課題を感じてはいるものの、まだ解決手段を検討していない潜在層にあたります。こうしたキーワードで自社のコンテンツを上位表示できれば、見込み客に対して自然に情報提供ができ、自社の専門性や信頼性を印象づけられるでしょう。
BtoBでSEOを行うことで、顕在層だけでなく潜在層にもリーチできるため、潜在的なユーザーの育成やブランド認知の向上につながります。
長期的に成果が得られる
BtoBにおいてSEOを行うことで、長期的に安定した成果を得ることができます。
SEOは一度上位表示を獲得すると、広告費をかけずに継続的な流入が見込める施策です。広告のように費用を止めた瞬間に効果が途切れるものとは異なり、SEOは蓄積されたコンテンツやドメインの評価が長期的に資産として機能します。そのため、継続的にリード獲得や商談機会を生み出す仕組みを構築できるのです。
例えば、ひとつのキーワードで検索上位を獲得できれば、順位が下がらない限り数カ月後や1年後でも継続的に見込み客からのアクセスを得られるでしょう。このように、SEOは一度成果を出せば長期的に効果を維持できるため、BtoB企業が安定的にリードを獲得するうえで欠かせないマーケティング手法といえるのです。
企業の信頼性・専門性を高められる
BtoB企業がSEOを実施することで、企業の信頼性や専門性を高めることができます。
SEOによってWebサイトの検索順位を向上させることは、オンラインでの認知度を上げることになります。関連するさまざまなキーワードで上位表示されると、その企業が専門的な知識や実績を持っていると見なされ、顧客からの信頼を得やすくなります。
また、SEOで成果を出すには、専門的なあらゆる情報を掲載することにもなるので、ユーザーから専門性の高い会社であると認識されるはずです。このように、BtoB企業がSEOを適切に実施することで、企業の信頼性や専門性を向上させ、より多くの顧客からの信用を得られるのです。
競合との差別化が図れる
BtoBでSEOを活用することにより、競合との差別化を図ることができます。SEOを行うには、自社サイト内に独自情報を盛り込んだコンテンツを展開することが必要になります。それによって、見込み顧客に対して他社とは異なる価値を伝えることが可能になり、差別化が可能なのです。
例えば、同じような製品を扱う2社があった場合でも、SEOを通じて「導入事例」や「自社独自の技術解説」を発信している企業は、信頼性や専門性が伝わりやすく、商談の対象として選ばれやすくなるでしょう。価格やスペックでは比較が難しいBtoB商材であっても、企業の姿勢や独自の取り組みを言語化・可視化することで、差別化を実現できるのも大きなメリットです。
このように、SEOを活用することで、BtoB企業は競合との差別化を図り、より成約率を高めることができるのです。
SEOを始めるべきBtoB企業とタイミング
SEOはさまざまなメリットのある施策ですが、必ずしもすべての企業がすぐに始めるべき施策とはいえません。SEOで成果を得られる企業やタイミングがあります。以下を参考にしてください。
| BtoB企業がSEOを始めるべき企業・タイミング | 根拠 |
|---|---|
| 広告での効果が頭打ちになってきた | リスティング広告やSNS広告で成果が伸び悩み、費用対効果が低下している場合、SEOでの安定した流入を確保するのが有効です。 |
| 広告依存から脱却したい企業 | 広告費に依存しない集客基盤を作ることで、長期的なコスト削減と持続的な見込み客獲得を実現できます。 |
| 競合ばかりが検索結果に表示される | 業界関連のキーワード検索で競合企業ばかりが上位表示されている場合、自社もSEO対策を行うことで競合のシェアを奪い、検索経由での問い合わせや認知を拡大できます。 |
| 中長期的に安定した集客を目指す企業 | SEOは即効性は低いものの、継続的に成果が積み上がる施策のため、安定的な集客を狙う企業に向いています。 |
| 潜在層にも認知を広げたい | 検索を通じてまだ顕在化していないニーズ層にも情報を届けられるため、リードの裾野を広げることが可能です。 |
| 採用に注力したい | SEOで自社の情報を発信することで、自社の認知を高めるとともに自社の価値観や強みにマッチする人材からの応募を促すことができます。 |
| Webサイトをリニューアルするタイミング | サイト構造やコンテンツを刷新する際は、SEO設計を取り入れる絶好の機会です。リニューアル後の流入増加を狙えます。 |
BtoB企業がSEOを行う11の手順
ここまで、BtoBにおけるSEOのメリットや重要性などを解説してきましたが、ここからはBtoB企業がSEOを行う際の手順や流れを説明していきます。
1.ページ種別ターゲットの把握
BtoBにおいては企業サイトやサービスサイトに対してSEO施策を行うことが多いですが、以下のようにサイト内のページごとに狙うべきターゲットが異なることを理解しておきましょう。
| ページ種別 | 想定されるユーザー層 |
|---|---|
| ・トップページ ・サービスページ |
指名検索ユーザー (自社名やサービス名を検索して訪問するユーザー) |
| ・サービスページ ・オウンドメディア |
顕在ユーザー (すでに課題やニーズを認識しており、比較・検討段階にあるユーザー) |
| ・オウンドメディア | 準顕在ユーザー・潜在ユーザー (まだ課題を明確に認識していないが、関連情報を調べているユーザー) |
BtoBのSEOにおいては、これらのページ種別ごとに行うべき施策が異なります。トップページやサービスページでは自社名・サービス名での上位表示を狙う「指名検索対策」、サービスページでは比較検討層を意識した「課題解決型コンテンツ」、そしてオウンドメディアでは潜在層に向けた「情報提供型コンテンツ」などが効果的です。
このようにターゲットに合わせてSEOの方向性を変えることで、集客効率と成約率の両方を高めることができます。
2.ページごとのキーワードの選定
検索結果からユーザーの流入を得るためには、ページごとにどのようなキーワードでユーザーを流入させるかというキーワードの選定が重要です。というのも、ターゲットユーザーを自社サイトに流入させるためには、ユーザーの検索結果に自社のページを表示する必要があるからです。
上で見たようなそれぞれのページに対して、どのようなキーワードを検索するユーザーを流入させるかを考える必要があるのです。
| ページ種別 | 狙うキーワード | キーワード例 |
|---|---|---|
| トップページ | 会社名・サービス名 会社名+実績 業種+地名など |
株式会社CINACA CINACA 実績 Webサイト制作 東京 |
| サービスページ | サービス名・製品名 サービス種別 サービス種別+代行など |
接客オンデオマンド AI接客サービス デザインツール |
| オウンドメディア | 準顕在キーワード 潜在キーワード |
SEO対策 会社 比較 SEO 方法 |
このように、ページの目的に応じて狙うキーワードを明確にすることで、より効果的なSEO施策を実施できます。
3.メタ情報の最適化
上で選定したキーワードをもとに、サイトの各ページのメタ情報を最適化を行います。
メタ情報とは、検索エンジンやユーザーにページ内容を伝えるための要素であり、主に「タイトルタグ(title)」「ディスクリプション(meta description)」などを指します。これらを適切に設計することで、検索結果でのクリック率や上位表示の可能性を高めることができます。
その際には、上で設定した各ページの検索キーワードをタイトルに組み込むことが重要です。また、ディスクリプションにはページ内容を簡潔にまとめ、ユーザーがクリックしたくなる訴求文を入れると効果的です。さらに、ページごとにメタ情報を重複させず、目的や検索意図に合わせてカスタマイズすることが、BtoBのSEOにおける信頼性と成果を高めるポイントです。
4.内部SEOの最適化
内部SEOとは、サイト内部の構造やコンテンツ、HTMLの最適化を指し、Googleなどの検索エンジンに対してサイトの内容を正しく伝える役割を果たします。特にBtoB領域では、専門性の高い情報が求められるため、検索エンジンにしっかりと理解される構造でないと、せっかくの良質なコンテンツが評価されず、検索順位が上がらないリスクがあります。
内部SEOの内容としては、以下のようなものがあります。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 内部リンク構造の最適化 | 関連性の高いページ同士をリンクでつなぎ、検索エンジンがサイト全体を巡回しやすくする。 |
| URL設計 | 短くわかりやすいURLを設定し、ページ内容を正しく示す構成にする。 |
| パンくずリストの設置 | ユーザーと検索エンジンの両方に、サイトの階層構造を明示する。 |
| 見出しタグ(H1〜H3)の構成 | コンテンツ構造を論理的に整理し、重要なキーワードを適切に配置する。 |
| 画像の最適化 | alt属性に説明文を入れ、画像検索やアクセシビリティ向上を図る。 |
| ページ読み込み速度の改善 | 画像圧縮やキャッシュ設定などを行い、表示速度を最適化して離脱率を下げる。 |
| モバイル対応 | レスポンシブデザインを採用し、スマートフォンでも快適に閲覧できるようにする。 |
| 構造化データの設定 | Schema.org形式などでページ内容をマークアップし、検索エンジンにコンテンツの意味を正確に伝える。 |
| XMLサイトマップの作成 | サイト内のページURLを一覧化して検索エンジンに送信し、クロール効率を高める。 |
Webサイト内部における最適化の方法はGoogleのSEOガイドラインを参考にしてください。
5.トップページのコンテンツ最適化
BtoBサイトにおいてトップページは、企業全体の顔としてだけでなく、検索エンジンとユーザー双方にサイト全体のテーマや構造を伝える重要なページです。単にデザイン性を高めるだけでなく、SEOの観点から情報設計と導線設計を最適化する必要があります。
まず、トップページは目次的な役割を持たせることが理想です。たとえば、サービス紹介・導入事例・会社情報・お問い合わせなど、主要ページへのリンクをわかりやすく配置し、検索エンジンがサイト全体の内容を把握しやすい構造にします。これにより、内部リンクのハブとして機能し、他ページの評価向上にもつながります。
また、コンテンツ面では以下のような要素を意識すると効果的です。
- ファーストビューに企業の強みや提供価値を簡潔に伝えるコピーを配置する
- サービス内容を概要レベルで紹介し、詳細ページへのリンクを設置する
- 信頼性を高める要素(導入実績・顧客ロゴ・受賞歴・メディア掲載など)を掲載する
- コールトゥアクション(CTA)を明確に設け、問い合わせや資料請求へ導く
このように、トップページを「ブランド訴求」「SEO最適化」「ナビゲーション機能」の3点を意識して設計することで、BtoBサイト全体の集客とコンバージョン率を高められます。
6.サービスページのコンテンツ最適化
BtoBサイトのサービスページは、各サービスや製品の詳細を伝え、問い合わせや資料請求といったコンバージョンにつなげる重要なページです。ここでは、提供価値や特徴を明確に示し、顧客が抱える課題に対してどのように解決できるかを具体的に伝えることが求められます。
また、サービスページでは信頼性を高める要素の掲載も欠かせません。導入事例や顧客の声、受賞歴や認定資格などを盛り込むことで、訪問者に安心感を与え、問い合わせへのハードルを下げることができます。ダウンロード、問い合わせフォームへのリンクを適切に配置し、ユーザーが迷わず次のアクションを取れる導線を設計することが重要です。
このように、サービスページは情報提供と信頼構築、SEO施策をバランスよく組み合わせることで、BtoBサイト全体の成果向上に直結します。
7.オウンドメディアのターゲット設定
トップページやその他のページの最適化が終わったら、次にオウンドメディアに取り掛かりましょう。
オウンドメディアを効果的に運営する前には、ターゲットを明確に設定することが重要です。ターゲットを明確にすることで、どの業界や企業規模、担当者層に向けたコンテンツを作るべきかが判断でき、検索意図に沿った記事作成やキーワード選定が可能になります。BtoB領域では特に、担当者の課題や関心に合わせた情報提供が、見込み顧客の獲得や信頼構築に直結するので設定を行いましょう。
ターゲットを設定する際は、まず自社の製品やサービスを必要とする業界や企業規模を明確にし、次にその企業内で意思決定に関わる担当者層を特定します。さらに、担当者が抱える課題や情報収集の目的を把握することで、関心や検索意図に合ったコンテンツを設計できます。
8.オウンドメディアのキーワード選定
BtoB企業がオウンドメディアからターゲットユーザーの流入を得るためには、検索キーワード選定を適切に行うことが重要です。ここではキーワードの選定の流れを解説します。
競合サイトのキーワード分析を行う
競合サイトのキーワード分析を行うことで、自社が狙うべき検索領域を明確にできます。まず、同業他社や類似サービスを提供している企業のオウンドメディアを調査し、どのキーワードで上位表示されているかを把握しましょう。
競合サイトが流入を得ているということは、そのキーワードに対して明確な検索ニーズが存在するという証拠です。したがって、競合が上位表示しているキーワードを分析することであり、ユーザーが求めている情報や関心の高いテーマを把握できます。その中から、自社の強みや専門性と重なるキーワードを選定すれば、より質の高いコンテンツを作成でき、検索上位を狙うことも可能です。
また、競合がまだカバーしていない関連キーワードを見つけることで、独自性のある記事を発信しやすくなります。競合サイトが流入を得ている検索キーワードはahrefsなどのツールで調べることができます。
関連キーワードの調査
次に、関連キーワードの調査を行いましょう。自社のビジネスに関係するテーマやターゲットユーザーが検索するであろうキーワードを網羅的に洗い出すことで、競合サイトにはないけれども自社にとって必要なキーワードを見つけることができます。
さらに、関連キーワードをテーマごとに分類して整理することで、コンテンツ全体の構成が明確になり、内部リンクの最適化にもつながります。
Googleのサジェスト機能や関連検索、Googleキーワードプランナーといったツールを活用することで、実際にユーザーが検索している語句を把握することが可能です。
ニーズ調査
競合のキーワードと関連キーワードをリスト化した後は、ユーザーの検索ニーズを分析し、優先的に狙うべきキーワードを絞り込みます。これは検索ボリュームが高いキーワードであっても、ユーザーの意図と合致していなければ成果にはつながらないからです。
BtoBのオウンドメディアでは、単なる情報収集ではなく課題解決や比較検討など明確な目的を持って検索するユーザーが多いため、その意図を的確に捉える必要があります。
キーワードごとに検索意図を読み取り、どの段階のユーザーをターゲットにするのかを明確にすることで、より成果につながるキーワード選定が可能になります。
上位表示可能性の調査
ここまでキーワードを絞り込んだら、実際にそのキーワードで検索し、自社コンテンツが上位表示できるのかどうかを調査します。
検索結果によっては、競合が強かったり、記事コンテンツでは上位表示できないものがあります。こういったキーワードで記事を作ってしまうと、上位表示ができないので無駄になってしまいます。そのため、検索結果の傾向をしっかりと分析し、記事コンテンツで上位表示が狙えるキーワードかどうかを見極めることが重要なのです。
例えば、検索結果の上位がコーポレートサイトや求人情報、製品ページばかりの場合は、情報提供型の記事よりも取引や採用を目的としたページが評価されていると考えられます。そのため、キーワードのリストからそういったキーワードを除外していく必要があるのです。
9.オウンドメディアのコンテンツ制作
トップページやサービスページの最適化、キーワードの選定が完了したら、次にオウンドメディアのコンテンツを作っていきます。ここでは、オウンドメディアのコンテンツを作るときのポイントを紹介します。
ユーザーニーズに合わせたコンテンツ設計
オウンドメディアを成功させるためには、ユーザーニーズに合ったコンテンツ設計を行うことが重要です。
検索エンジンはユーザーの検索意図に合致したコンテンツを上位に表示する仕組みになっているため、ユーザーニーズを正確に反映した記事でなければ検索結果で評価されないからです。だからこそ、成果を出すためには、アルゴリズム対策よりも「ユーザーが求めている情報を的確に満たしているか」が鍵になります。
だからこそ、ユーザーがどのような課題を抱え、どんな情報を求めて検索しているのかを深く理解することが欠かせません。単にキーワードを含めた記事を作るのではなく、検索意図を正確に把握し、その意図に応える内容を提供することが大切です。
E-E-A-Tを意識したコンテンツ作成
BtoBにおけるコンテンツSEOでは、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を意識したコンテンツ作成が大切です。Googleは、検索結果の品質を判断する指標としてE-E-A-Tを重視しています。特にBtoB領域では高額な取引や専門性の高い意思決定が多いため、企業や担当者が信頼に足る情報源と感じられるかどうかが、SEO上位表示とCV率の両面で重要になります。
そのため、情報の羅列ではなく、実際の経験に基づいた具体的な事例や実績を含めることで、コンテンツに「経験(Experience)」の裏付けを与えることが重要です。また、執筆者や監修者の「専門性(Expertise)」や「権威性(Authoritativeness)」を示すプロフィールや資格情報、業界内でのポジションなども記載するのも有効です。
特に、医療・法律・金融などのYMYL(Your Money or Your Life)領域に近いBtoB分野では、誰がその情報を提供しているのかが検索エンジンにとっても重要な評価軸になります。
ナレッジベース・ホワイトペーパーの活用
ナレッジベースやホワイトペーパーを活用することは、BtoBのコンテンツSEOにおいて成果を出すために効果的です。これらの資料は専門的かつ詳細な情報を提供できるため、ターゲット企業の信頼を獲得しやすく、またSEO的にも価値の高いコンテンツとして評価されます。
ナレッジベースは顧客や見込み客が抱える具体的な課題を解決するための情報を体系的に整理することで、ユーザーの滞在時間やリピート率を高めることができます。また、ホワイトペーパーは業界動向や技術的詳細、事例分析などを深掘りし、専門性と権威性を示すための有力な手段です。これにより、リード獲得や商談成立に繋がる信頼関係構築が期待できます。
実際、BtoB企業のコンバージョンに関する実態調査によると、マーケティング担当者が思う最もCVの件数が多いコンテンツは、SEO記事では「業界動向・トレンド記事」(56.3%)、ホワイトペーパーでは「サービス導入事例」(63.1%)となっています。
10.コアバリューページの明確化とリンク構築
BtoBのSEO対策では、コアバリューページを明確にし、内部リンクを構築することが重要です。コアバリューページとは、企業やブランドが顧客に提供する「中核的な価値」や「強み」を明確に伝えるためのウェブページのことです。
コアバリューページを明確化することで、検索エンジンに自社サイトの主力コンテンツや価値を正しく伝えることができ、関連するページからの内部リンクを集めることで、そのページのSEO評価を高められます。
例えば、製品紹介ページやサービス概要ページ、自社のノウハウを詰め込んだ記事など、ビジネスの核となるページに対して、関連するブログ記事やFAQ、導入事例などから内部リンクを貼ることで、検索エンジンはそのページが重要であると判断しやすくなります。
11.被リンク施策
BtoBにおけるSEO対策では、被リンク獲得のための施策も重要な要素です。被リンク施策とは、他のウェブサイトから自社サイトへのリンクを獲得する取り組みのことを指します。
検索エンジンは、外部サイトからのリンクを「信頼の投票」として評価するため、質の高い被リンクを獲得することで、自社サイトの権威性や検索順位を向上させることができます。単にリンクの数を増やすのではなく、関連性と信頼性の高いサイトからの被リンクを戦略的に獲得することが重要になります。
被リンク施策には以下のようなものがあります。
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| 競合サイトのキーワード分析を行う | 競合が上位表示しているキーワードを分析することで、検索ニーズを把握し、自社が狙うべき領域や差別化ポイントを明確にします。 |
| 信頼性・関連性の高いサイトから被リンク獲得 | 業界メディアやパートナー企業など、信頼性・関連性の高いサイトからの被リンクを得ることで、SEO評価を高めることができます。 |
| 寄稿・プレスリリースによる専門性アピール | 業界紙やニュースメディアへの寄稿やプレスリリースを通じて、自社の専門性を発信し、権威性と被リンク獲得の両方を狙います。 |
| ホワイトペーパーや調査レポートによるシェア誘導 | 専門性の高いホワイトペーパーや調査レポートを公開し、自然なシェアや引用を促すことで、被リンクを増やしSEOを強化します。 |
| SNSや業界フォーラムでの情報発信と連携 | SNSや業界フォーラムで情報を発信し、業界関係者との接点を増やすことで、自社サイトへのアクセスと信頼性向上につなげます。 |
| パートナー企業との相互リンク戦略 | 取引先やパートナー企業と自然な形で相互リンクを行い、双方のSEO評価を高めるとともに信頼性の向上を図ります。 |
SEOの成果を測定・改善する方法
ここまでのSEO施策を行ったあとには、成果を測定し、改善をしていくことが重要です。
SEOのKPI設定と目標管理のポイント
SEOの成果を最大化するためには、適切なKPI設定と目標管理が欠かせません。SEOは中長期的な施策であるため、明確なKPIを設定し、進捗状況を可視化しながら管理することが重要です。
KPIによって、目標達成に向けた取り組みの成果を数値で把握でき、効果の高い施策にリソースを集中させることができます。また、施策がうまくいっていない場合にも、早期に軌道修正を図ることが可能です。
KPIとして設定される代表的な指標には、「自然検索からの流入数」「特定キーワードでの検索順位」「コンバージョン数(CV)」「直帰率」「平均セッション時間」「被リンク数」などがあります。これらの指標を用いることで、単にアクセス数を増やすだけでなく、質の高いトラフィックを獲得できているか、ユーザーがコンテンツにどれだけ関与しているかを評価することができます。
Googleアナリティクスとサーチコンソールを活用
SEOの成果を正確に把握し、改善につなげるためには、Googleアナリティクスとサーチコンソールを活用することが重要です。
Googleアナリティクスではユーザーの流入経路や行動、コンバージョンデータを追跡でき、サーチコンソールでは検索クエリ、インデックス状況、クリック率などの検索パフォーマンスを把握できます。これら2つのツールを併用することで、SEO施策のどの部分が効果的で、どこに改善の余地があるのかを具体的に分析することができます。
SEOの成果をデータに基づいて把握し、改善施策を戦略的に進めることが大切です。
競合サイトと自社サイトの定期比較分析
SEOの成果を高めるためには、競合サイトと自社サイトの定期的な比較分析を行うことが効果的です。
競合と自社のパフォーマンスを比較することで、自社サイトの弱点や改善点、逆に優れているポイントを客観的に把握することができます。検索順位の推移や被リンク数、コンテンツの質や更新頻度などを競合と照らし合わせることで、何が差を生んでいるのかを明確にしましょう。
また、競合が対応していないロングテールキーワードや検索意図に着目することで、ニッチなユーザーニーズを獲得するチャンスも生まれます。
BtoBのSEOに必要な実行体制とは
BtoBのSEOを行う場合には体制を構築しなくてはなりません。どのような体制がよいのでしょうか。
内製化
BtoBのSEOにおいては、施策を内製化することで自社のノウハウ蓄積やスピード感ある運用が可能になります。
内製化の最大のメリットは、社内に知見が蓄積され、SEOに関する判断や改善が迅速に行えるようになることです。特にBtoB領域では、専門性が高く、商材やターゲットの理解が深い社内のメンバーがコンテンツを作成することで、より質の高いSEO施策を展開できます。また、社内リソースを活用することで、外注コストの削減にもつながります。
ただし、専門知識を持った人材の確保や育成が必要で、初期段階ではリソース不足に悩む可能性があります。まずは小規模な施策やコンテンツ作成から着手し、徐々に体制を整えていくことで、無理のないスムーズな内製化が可能になるでしょう。
外注
BtoBのSEOにおいては、外注することで専門的なノウハウを活用し効率的な施策展開が可能になります。
SEOでは検索アルゴリズムの変化や競合分析、キーワード戦略、コンテンツ制作など多岐にわたるスキルが求められるため、自社に専門知識がない場合は、外部のプロに任せることで成果につながりやすくなります。特にBtoB分野では、限られたリソースで戦略的にSEOを進める必要があるため、実績のある外部パートナーの力を借りることが効率的なのです。
SEOに強い外部パートナーを活用すれば、内部構造の最適化からコンテンツ戦略まで包括的に対応してくれますが、自社の商材や業界知識に乏しい場合があり、意図したメッセージが伝わりにくくなる可能性があります。また、長期的な契約によりコストがかさむリスクも考慮しなければなりません。
内製と外注を組み合わせるハイブリッド体制
BtoBのSEOにおいては、内製と外注を組み合わせたハイブリッド体制をとることも有効です。
SEO施策には自社の事業理解が不可欠な領域と、高度な専門知識やリソースが求められる領域があります。ハイブリッド体制であれば、内部で戦略立案やコンテンツの方向性を管理しつつ、技術的な最適化や作業量の多い実務を外注することで、両者の強みを最大限に活かすことができます。
例えば、自社でBtoB商材のターゲットに適したキーワード設計や企画立案を行い、記事制作やSEO技術の実装は外部に任せるといった分業を行うといった体制を作るのもよいでしょう。
外注パートナーの選び方とチェックリスト
BtoBのSEO施策を成功に導くためには、信頼できる外注パートナーを適切に選定することが重要です。BtoB領域では商材が専門的でターゲットも限定されるため、SEOにおいても業界知識や成果に対する理解が求められます。
そのため、単に実績があるだけでなく、自社の事業理解とコミュニケーション力を兼ね備えた外注先を選ぶ必要があります。評価の基準となるチェックリストを持つことで、選定時のブレを防ぎ、成果に直結するパートナーと連携しやすくなるので用意するのがよいでしょう。
SEO会社の中には、検索順位の向上を成果指標にしているところもありますが、BtoBでは問い合わせの質や数にまで踏み込んだ提案ができるかが重要です。それらを指標としているかを確認しましょう。
また、いくら条件が整っていても、実際の業務を進める中で自社との相性が合わないと感じるケースもあります。そういったリスクを最小限に抑えるためにも、契約前にトライアル期間を設ける、あるいは過去に支援したクライアントとの成功事例や失敗事例を共有してもらうことで、より現実的な判断が可能になります。
BtoBのSEOの成功事例
BtoBのSEOの成功事例を紹介します。
サービスページの最適化とオウンドメディアで集客に成功
BtoB向けのDXサービスを提供しているビーモーション会社様の事例です。Webサイトからの問い合わせがほとんどなかった企業から、SEO改善のご相談をいただきました。
まずはサイト全体の内部対策を実施し、サービスページの構成を見直したうえで、定期的なコラム制作を開始しました。従来はサービス紹介が1ページのみで簡略的に説明されていましたが、リニューアルによってサービス内容を細分化し、強みや特徴を明確化。特に、「あらゆるオンライン接客に1社で対応できる点」や「運用支援に強みがある点」を前面に打ち出すことで、ユーザーの理解度と信頼性を高めました。
さらに、コラム機能を追加してオウンドメディア運用を開始し、検索流入の拡大を図りました。専門性の高いテーマを継続的に発信することで、当初月間約100だったセッション数は、1年後には7,000まで増加。加えて、顕在層の集客にも成功し、現在では月間20件前後の問い合わせを安定的に獲得できるようになりました。
ニッチ市場でも成果を上げた介護業界のオウンドメディア戦略
介護職向けシフト・勤怠管理サービス「CWS for Care」を展開するインフォコムは、介護×人事労務というニッチな領域でオウンドメディア「介護の人事労務ナビ」を運営し、広告以上の成果を上げています。
専門家監修による信頼性の高い記事を継続的に発信し、運用開始からわずか1年余りで記事数は600本を突破。月間25万セッション、数百件のリード獲得を実現した。広告経由に比べてホットリードは1.4倍、コストは3分の1に削減され、BtoB領域でもオウンドメディアの持続的なリード獲得効果を得たとのことです。
まとめ
BtoB企業にとってSEOは重要な施策です。BtoBの企業はSEOをうまく活用することで、長期的に収益を得ることができます。多くの企業がSEOに取り組むなかで、SEOを活用しないのはむしろ大きなチャンスを逃しているともいえます。ぜひSEOを行うことを検討してください。
私たちCINACAでは、これまでに多くのBtoB企業のSEOで実績があり、自社ならではのノウハウを持っています。内部施策、外部施策、コンテンツ施策の全体から、施策を提案させていただきます。
また、キーワード選定においては上位表示可能性や競合性も加味して選定を行うので、より成果につながりやすいキーワードで対策を行えます。検索順位だけを指標とするのでなく、成約につながる指標を設定し、調査・改善を繰り返します。ぜひお問合せください。
サービス紹介
アルゴリズムに適した効果的な施策を提案
自然検索からの流入を最大化します。 基本的な施策だけでなく、最新の検索エンジンのアルゴリズムに則した提案をします。 10年以上対策を行ってきた豊富な経験から、独自の施策で課題を解決します。
SEOに効果的なライティングを提供
Webコンテンツではテキストが重要となります。中身のないコンテンツではアクセスと問い合わせを得られません。SEOに準拠したライティングを行うことでアクセスを集めながら、コンバージョンを得られるコンテンツを作成いたします。